水換えは月1回!バクテリアで飼う「次世代らんちゅう飼育論」

はじめに:なぜ、らんちゅう飼育は「難しい」のか?
「らんちゅうは水換えが命」「毎日世話をしないと死んでしまう」 そんな常識のせいで、らんちゅう飼育をあきらめていませんか?
確かに、品評会で優勝を目指すような伝統的な飼育法(頻繁な全換水と大量給餌)は、熟練の技術と膨大な時間が必要です。
しかし、私たちが目指すのは「家庭で楽しむ、強くて美しいらんちゅう」です。
私が実践している「次世代飼育論」は、水質管理を人間の労力ではなく、最先端のバイオ技術(バクテリア)に任せるスタイルです。
- 水換えは月1回でOK
- 冬眠中もバクテリアが病気を防ぐ
- 難しい水質調整は不要
忙しい現代人のための、最も理にかなった「失敗しない飼育法」を公開します。
次世代飼育の「3つの鉄則」
この飼育法を成功させるためのルールは非常にシンプルです。
①容器はホームセンターの「トロ舟(プラ舟)」

ガラス水槽ではなく、ホームセンターで数千円で売っている丈夫な「プラ舟(60L~80L)」を使用します。
【色は「緑」でOKです!】 よく「らんちゅうの色を濃くするには黒い容器が良い」と言われますが、私はあえて「緑色」を使っています。
しっかりと魚の状態を目で見て管理するためにも、視認性の良い緑色のプラ舟がおすすめです。
(もちろん、鑑賞メインで色揚げを重視するなら黒でも構いません。)
理由: 繁殖をする際、生まれたばかりの赤ちゃん(針子)は小さくて黒っぽいため、黒い容器だと全く見えなくなってしまうからです。
② フィルターではなく「バクテリア」で飼う
物理的なろ過装置(フィルター)は補助的なものです。
主役は「水」そのもの。
特殊な善玉菌を定着させ、汚れを瞬時に分解する「生きた水」を作ります。
③ 餌やりは「水温」が決める
失敗の9割は「餌のやりすぎ」です。
水温計を毎日チェックし、決められたルール通りに餌を調整します。
用意するもの(スターターセット)
まずはこれだけ揃えればスタートできます。
特に水温計はこの飼育法の命綱ですので、必ず用意してください。
- 飼育容器: ホームセンターの「プラ舟」(60L または 80L推奨)
- ※色は「緑色」推奨: 一般的には黒が良いとされますが、私は視認性の良い緑色を使っています。
- 水温計(必須):
- 毎日の餌の量を決めるための最重要アイテムです。デジタルでもアナログでも構いませんが、パッと見やすいものを選びましょう。
- 置き場所: 屋外(直射日光が当たりすぎないよう、波板で雨除け・日除けをする)
- カルキ抜き: 水道水の塩素を抜くための薬剤(※重要)
- バクテリア資材:
- 善玉君(パック): 水に沈めるタイプ
- 善玉君(リキッド): 毎日添加するタイプ
- アナカスA・B: 免疫強化・浄化用
- エアレーション:
- 春~秋: ロカボーイM(投げ込み式フィルター)
- 冬: エアストーン(水流を弱めるため)
私は慣れているので水道水をそのまま使うこともありますが、失敗を防ぐため、最初は必ず「1日汲み置きした水」か「カルキ抜き剤を使った水」を使用してください。
塩素はせっかくのバクテリアを殺してしまいます。
日々の管理ルーティン(バクテリア活用法)

この飼育法の核となるのが、TOM43由来の強力なバクテリア活用術です。
一般的なバクテリアと違い、水温2℃~60℃という広範囲で活動するため、真冬でも飼育水を守り続けてくれます。
バクテリアの添加スケジュール
- 善玉君(パック): 15日に1回、新しいものに交換します。(古いパックは庭木の肥料にすると凄く育ちます!)
- 善玉君(リキッド): 毎日1回、2cc(キャップ1杯程度)を添加します。これは冬眠中も続けます。
- アナカスA・B: 週に2回投入します。(冬眠中は週1回)
【保存版】水温別・餌やりマニュアル
ここが一番重要です。「水換え月1回」を実現できるかどうかは、この給餌ルールを守れるかにかかっています。
餌は1回あたり「5分以内に食べきれる量」が絶対条件です。
| 水温 33℃以上 |
餌切り(与えない) 高水温で消化機能が落ちるため |
| 水温 18℃~29℃ |
通常量(1日2~3回) 一番よく食べる時期。5分で完食する量を厳守。 |
| 水温 15℃~18℃ 30℃~32℃ |
通常の半分(1/2) 消化不良に注意が必要なライン。 |
| 水温 11℃~15℃ |
通常の4分の1(1/4) ほんの少しでOK。様子を見ながら。 |
| 水温 10℃以下 |
餌切り(与えない) 冬眠モードに入ります。絶対に与えてはいけません。 |
メンテナンス(水換え・掃除)
基本は「足し水」のみ
蒸発して減った分の水を足すだけでOKです。
バクテリアが正常に働いていれば、水は輝きを保ちます。
月に1回の「プチ大掃除」
月に一度だけ、水換えを行います。
- ポンプで水を半分~3分の2ほど抜く。
- 底面や四隅のぬめりをスポンジで軽くこする。(※ピカピカにしすぎないこと!壁面のバクテリアを残すため)
- 新しい水(カルキを抜いて水温を合わせた水)を入れる。
季節のリズムと「産卵」について
らんちゅう飼育で一番失敗しやすいのが「季節の変わり目」です。
特に春の産卵期は、魚にとって命がけのイベントです。
「長生き」を最優先にするための、季節ごとの過ごし方をご紹介します。
冬(12月~2月):静かに眠らせる
- 冬眠: 水温が10℃を下回ったら餌を止め、冬眠させます。
- 管理: バクテリア(善玉君リキッド)は毎日入れますが、そっとしておきます。いじりすぎると体力を消耗して春に死んでしまいます。
春(3月~5月):恋の季節と注意点
水温が上がると、らんちゅうは繁殖行動(オスがメスを追いかける)を始めます。
- 「人工授精」はしません: プロは卵をたくさん採るために「人工授精」をしますが、魚の体を強く圧迫するため、初心者の方にはおすすめしません。魚への負担が少ない「自然産卵」に任せましょう。
- 産卵藻(アナカリスなど)を入れる: 追いかけっこで体をぶつけて傷つかないよう、柔らかい水草(アナカリス)や産卵藻を多めに入れてあげてください。
- 水質の悪化に注意: 産卵直後の水は、精子や卵の殻で白く濁り、急激に汚れます。この時ばかりはバクテリアの処理が追いつかないことがあるので、「水が臭うな」と思ったら半分ほど水換えをして、親魚を守ってあげてください。
卵が産み付けられた水草を、洗面器や別のプラ舟(緑色がおすすめ!)に移すだけでOKです。
数日で可愛い赤ちゃん(針子)が生まれますよ。親魚と同じ場所だと食べられてしまうので注意!
夏~秋(6月~11月):鑑賞と食欲の秋
一番活動的な時期です。先ほどの「水温ごとの給餌ルール」を守り、大きく太く育てましょう。
秋になり涼しくなってきたら、少しずつ冬眠に向けて餌を減らしていく準備を始めます。
最後に:らんちゅうは「ペット」です
らんちゅうは「上から見て楽しむ芸術品」と言われますが、私たちにとっては可愛い「ペット」であり家族です。
品評会で勝つための無理な急成長や、過密飼育をする必要はありません。
「黒い舟じゃなくてもいい」「毎日水換えしなくてもいい」 この次世代飼育論で、肩の力を抜いて、らんちゅうとの暮らしを長く楽しんでいただければ幸いです。